就業規則で防ぐトラブル例(休暇−特別休暇)
【トラブル例】
1年半も前に結婚した従業員が、「結婚休暇を取っていないから」と今になって請求してきた。
虚偽の理由ではないかと思われる特別休暇の申請を行う従業員がいるが、証拠もなく対抗できない など
【一般的雛形の文例】 (特別休暇)
第○条 特別休暇を下記の通り与える。
1.本人の結婚 〇日
2.配偶者の出産 〇日
3.忌引の場合
配偶者・子女の死亡のとき 〇日
祖父母(養祖父母を含む)兄弟姉妹が死亡したとき 〇日
配偶者の父母が死亡したとき 〇日
その他、会社が必要と認めたとき 必要と認めた日数
(2)前項の休暇を取得しようとする者は事前に申し出なければならない
【参考文例】
(特別休暇を取得できる場合と手続きについて)
第○ 従業員が次の各号の一つに該当するときは、その人の申し出により、次の日数の特別休暇を取ることができます。なお特別休暇は、特に定めのない限り当該事由の生じた日から引き続き取得することを原則としますが、本人の結婚については本人の希望も勘案し事由の発生日から6ヶ月以内の取得を認める場合があります。
1.本人の結婚(結婚式の日または婚姻届を提出した日) 〇日
2.配偶者の出産 〇日
〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(2) 前項各号の休暇日数について、特別休暇日と同時に各自の休日が重複するときは各自の休日を含めての日数とし、別途休暇日数の加算は行いません。
(3) 第1項各号の休暇について、会社が必要と認めたときは、休暇を取得しようとする事由を証明する書類を提出しなければなりません。
(4) 従業員が、本条に定める休暇を受けようとするときは、会社の業務に支障をきたさないように1項1号については5日前までに所定の手続きにより上司に申し出て、その承認を得なければなりません。1項2号以下の事由の場合であっても事前の申し出を原則とし、事後の申出の場合、やむを得ない理由のある場合を除き特別休暇との振替を認めないことがあります。
(5) 前項に定める手続きを怠り、または必要な証明書類の提出を拒否したときは、当該休暇を認めず、またはは無給とすることがあります。
【解説】
特別休暇は、就業規則の相対的必要記載事項であり、必ずしも設けなくても良い制度です。従業員の福利厚生等を目的として特別休暇を設ける場合には、「よかれと思って作った制度がトラブルの元になる」といったことがないよう、起こりそうな事態を想定してきちんと規定しておきたいものです。
労働基準法を越える休暇ですから、事前の申請に日数の制限を設けたり(忌引き等ではなかなか事前の申請が難しい場合もありますが)、取得事由を明らかにする書類を提出させるといったことも規定しておくことができます。
これらは例えばなにも「特別休暇の度に証明を提出させる」ことが目的ではなく、このように規定しておくことによって、虚偽の理由で特別休暇を申請しようとするのを「未然に防ぐ」ことが目的であるのは当然です。
その他、「特別休暇が本来の休日と重なった場合にどう取り扱うか」といったこともトラブルの元になりやすく、きちんと規定しておく必要があります。
また会社によっては「社員といえば正社員のことなんだからこれでいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、労働基準法は「正社員」「パート」「アルバイト」といった区別をしておらず、これらはあくまでも会社の定義によるものですから、これもきちんと定義を規定しておくことは重要です。 |